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LCP(液晶ポリマー)の試作を検討している方へ【LCPの特徴や試作・成形の代表的な用途を解説します】

LCP(液晶ポリマー)は、スマートフォンや車載電装品、AI関連機器のコネクタなどに採用される高機能エンジニアリングプラスチックです。極めて優れた流動性と寸法安定性を備え、薄肉・微細形状の成形に強みを発揮します。本記事では、LCPの基礎知識から長所・短所、物性、代表的な用途まで、試作・成形を検討するうえで押さえておきたいポイントを解説します。

 

LCPの試作をご検討の方は、ぜひPlaQuickまでお気軽にお問い合わせください。

LCP(液晶ポリマー)の略号と名称

  • 略号:LCP(Liquid Crystal Polymer)
  • 名称:液晶ポリマー/液晶ポリエステル

化学的にはパラヒドロキシ安息香酸などを原料とする芳香族ポリエステル系の熱可塑性樹脂で、溶融状態において分子鎖が一定方向に整列する液晶相を示すことが特徴です。この分子配向性が、他のエンプラにはない優れた機械物性や成形性をもたらしています。

LCP(液晶ポリマー)の概要

LCPは1980年代に実用化された比較的新しいスーパーエンジニアリングプラスチックで、剛直な棒状分子が溶融時に流動方向へ整列することで、極めて低い溶融粘度と高い機械強度を両立しています。耐熱グレードによってTypeⅠ(高耐熱・荷重たわみ温度約280〜350℃)、TypeⅡ(中耐熱・約230〜280℃)、TypeⅢ(低耐熱・約180〜230℃)に大別され、用途や成形条件に応じて使い分けられます。電気・電子分野を中心に、半導体パッケージや高周波用部品、車載電装品など、高い信頼性が求められる領域で採用が拡大しています。

LCP(液晶ポリマー)の長所

①優れた耐熱性

連続使用温度は200〜240℃前後と高く、はんだ耐熱性にも優れています。鉛フリーはんだのリフロー工程(260〜270℃)にも耐えるため、表面実装部品(SMT)の材料として広く使われています。

②極めて高い流動性と薄肉成形性

溶融時の分子の絡み合いが少ないため、溶融粘度は同類のエンプラに比べて非常に低く、0.1mm以下の薄肉部や微細形状にも樹脂が行き渡ります。スマートフォンや精密コネクタなど、超薄肉・微細部品の成形に最適です。

③低い成形収縮率と高い寸法安定性

分子が成形時に流動方向へ整列するため、成形収縮率が小さく、反りや歪みが起こりにくい樹脂です。吸水率も0.1%以下と極めて低く、湿度変化による寸法変動もほぼ発生しません。

④優れた機械的強度

剛直な分子構造に由来し、無充填グレードでも引張強度130〜200MPaと、汎用エンプラを大きく上回ります。ガラス繊維やミネラル充填グレードでは、さらに剛性が向上します。

⑤難燃性と低発煙性

無添加でもUL94 V-0レベルの難燃性を示すグレードが多く、自己消火性に優れ、燃焼時の発煙量も少ないため、電気・電子部品や航空機内装部品にも適しています。

⑥優れた耐薬品性

ほとんどの酸・アルカリ・有機溶剤に侵されません。ハロゲン系溶剤や燃料油、各種洗浄剤にも安定しているため、過酷な環境下で使用される部品にも採用されます。

LCP(液晶ポリマー)の短所

①ウェルド部の強度が低い

分子鎖が流動方向に整列するLCPの特性上、樹脂の合流点(ウェルドライン)では分子が交差せず、機械的強度が著しく低下します。複雑形状の成形では、ゲート位置や流路設計に高度なノウハウが必要です。

②強い異方性

流動方向と直角方向で機械物性や成形収縮率が大きく異なります。寸法精度を重視する設計では、流動シミュレーションによる事前検証が欠かせません。

③接着・塗装が難しい

表面エネルギーが低く、極めて滑らかな表面を持つため、接着剤や塗料の密着が困難です。塗装や接着が必要な場合は、プラズマ処理など表面改質を行う必要があります。

④価格が高い

原料コストや製造プロセスの複雑さから、汎用エンプラやPBT・PPSと比較しても単価が高く、量産部品ではコスト面の検討が必要です。

LCPの試作をご検討の方は、ぜひPlaQuickまでお気軽にお問い合わせください。

LCP(液晶ポリマー)の種類

①TypeⅠ(高耐熱グレード)

荷重たわみ温度が約280〜350℃と最も高く、はんだ耐熱性が要求される表面実装部品や半導体ソケットに使用されます。

②TypeⅡ(中耐熱グレード)

荷重たわみ温度230〜280℃で、TypeⅠより成形しやすく、コストとのバランスに優れます。コネクタや電装部品に幅広く採用されています。

③TypeⅢ(低耐熱グレード)

荷重たわみ温度は180〜230℃程度で、PBTやPPSの代替として使われるケースが多く、汎用性の高いグレードです。

④強化・充填グレード

ガラス繊維強化、ミネラル充填、カーボン繊維強化など、機械強度や寸法安定性、導電性をさらに高めたグレードが各社から提供されています。

LCP(液晶ポリマー)の物性について

物理的・機械的性質

引張強度は無充填グレードでも130〜200MPa、ガラス繊維強化グレードでは150〜250MPaに達します。曲げ弾性率も10〜20GPa前後と高く、薄肉でも高い剛性を保てる点が特徴です。比重は1.4〜1.8程度で、エンプラとしては中程度です。

熱的性質・成形時の性質

融点は280〜330℃、連続使用温度はグレードにより200〜240℃。荷重たわみ温度(HDT、1.82MPa)は180〜350℃と幅広く、TypeⅠでは300℃を超える高耐熱性を示します。線膨張係数は流動方向で約5×10⁻⁵/℃以下と非常に小さく、温度変化に対する寸法安定性に優れています。成形温度は280〜360℃、金型温度は60〜120℃が目安で、流動性が極めて高いため射出速度を速めに設定するのが一般的です。

電気的性質

体積抵抗率は10¹⁵Ω・cm以上、絶縁破壊強度も20〜30kV/mm以上と高い絶縁性を示します。誘電率は3〜4、誘電正接は0.001〜0.005と低損失で、5G・ミリ波帯などの高周波用途に適した特性を持ちます

化学的性質・燃焼性・吸水性

耐薬品性に優れ、ほとんどの酸・アルカリ・有機溶剤に対して安定です。難燃性はUL94 V-0グレードが標準的で、自己消火性を備えます。吸水率は0.02〜0.1%程度と樹脂の中でも極めて低く、寸法変化や電気特性の劣化が起こりにくい点が大きな利点です。

LCP(液晶ポリマー)の用途

LCPは、その薄肉成形性と高耐熱性、優れた高周波特性を活かして、エレクトロニクス分野を中心に幅広く採用されています。特に近年は、AIデータセンターの高速通信コネクタや、5G/6G関連機器のミリ波帯部品、EV車載電装品など、高機能化が進む分野での需要が急速に拡大しています

電気・電子部品 スマートフォンや基板用コネクタ、ソケット、リレー、スイッチ、ボビン、抵抗器など。表面実装に対応する高耐熱性が評価されています。
半導体関連 半導体ソケット、ICキャリア、テストソケットなど。寸法安定性と耐熱性が要求される用途に最適です。
AI・通信機器 AIデータセンターの高速コネクタ、5G基地局のアンテナ・フィルタ部品、ミリ波対応コネクタなど。低誘電損失が大きな強みになります。
自動車部品 車載カメラ・センサ、ECU筐体、EVのモーター部品やインバータ周辺部品など、高耐熱・高絶縁性が求められる部位に採用されています。
医療・産業機器 滅菌処理に耐える医療用部品、化学プラントの耐薬品部品、精密機械の摺動部品など、信頼性が重視される用途にも展開されています。

LCP(液晶ポリマー)は、極めて高い流動性と薄肉成形性、低吸水性、高耐熱性、優れた高周波特性を兼ね備えた、現代のエレクトロニクスを支える重要な材料です。一方で、ウェルド強度の低さや異方性など、設計上の配慮が必要な点もあります。

 

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