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PET(ポリエチレンテレフタレート)の試作を検討している方へ【PETの特徴や試作・成形の代表的な用途を解説します】

PET(ポリエチレンテレフタレート)は、飲料ボトルや繊維、食品包装でおなじみの結晶性ポリエステル樹脂で、世界で最も多く使用されているプラスチックの一つです。透明性・機械強度・ガスバリア性・リサイクル性に優れ、汎用品から工業用部品まで幅広い用途に対応します。本記事では、PETの基礎から長所・短所、物性、代表的な用途までを、試作・成形を検討する立場から解説します。

 

PETの試作をご検討の方は、PlaQuickまでお気軽にお問い合わせください。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の略号と名称

  • 略号:PET(Polyethylene Terephthalate)
  • 名称:ポリエチレンテレフタレート
  • 呼称:ペットと発音され、ペットボトルの素材として広く知られている

テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合によって得られる飽和ポリエステル樹脂です。化学構造の中にベンゼン環と直線的なエステル結合を持つことで、結晶化が起こりやすく、優れた機械的特性とガスバリア性を発揮します。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の概要

PETは1940年代にイギリスで合成され、当初は繊維(ポリエステル繊維)として実用化されました。その後、フィルム、ボトル、エンジニアリングプラスチックへと用途を拡大し、現在では繊維・容器・電気電子・自動車など幅広い分野で使用されています。結晶性の高さや成形条件によって透明な非晶状態(A-PET)にも、結晶化させて高耐熱性を発揮する状態(C-PET)にもなり得る、用途適応性の高い樹脂です。エンプラ用途ではガラス繊維強化(GF-PET)として、機械的強度や耐熱性を高めて使用されます。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の長所

①優れた透明性と外観

急冷成形した非晶質のPET(A-PET)は、全光線透過率87〜90%と高く、ガラスに近い透明感と光沢を持ちます。容器や包装、ディスプレイ部品など、視認性や意匠性が重要な用途に最適です。

②高い機械的強度と寸法安定性

引張強度は60〜80MPa、ガラス繊維強化グレードでは150MPa以上に達し、寸法安定性にも優れています。硬度・剛性も高く、構造部品としても十分な性能を発揮します。

③優れたガスバリア性

酸素・二酸化炭素の透過性が低く、香気成分の保持にも優れるため、炭酸飲料・果汁・ビールなどの容器素材として理想的です。同重量のPEやPPと比べて、ガスバリア性は数倍以上高くなります

④良好な耐熱性

結晶化させたC-PETやGF-PETは、荷重たわみ温度が220〜240℃と高く、耐熱容器や電装部品にも使用できます。連続使用温度は無強化で約100℃、ガラス繊維強化で150℃前後です。

⑤優れた耐薬品性

酸・油・アルコールに対して安定しており、食品・薬品の容器材料としても安全に使用できます。溶剤に対する耐性もエンプラとして十分なレベルを備えています。

⑥リサイクル性

PETは熱可塑性樹脂の中でも最もリサイクル体制が確立しており、ボトルtoボトル、繊維、シートなど多様なリサイクル用途があります。環境負荷低減の観点から、近年さらに注目が高まっています。

⑦低吸水性と電気絶縁性

吸水率は0.1〜0.3%程度と低く、電気絶縁性にも優れます。電子部品やコネクタなどの絶縁材料としても使用されます。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の短所

①衝撃強度(無強化)の低さ

結晶化したPETは硬く脆い性質があり、無強化グレードではアイゾット衝撃強度が低めです。エンプラ用途ではガラス繊維強化(GF-PET)にすることで補強するのが一般的です。

②加水分解しやすい

高温・高湿環境やアルカリ環境下では、エステル結合が加水分解を起こしやすく、機械物性が低下します。成形前の十分な乾燥(含水率0.02%以下)と、長期使用環境の適切な選定が必要です。

③成形収縮の異方性(強化グレード)

ガラス繊維強化グレードでは、繊維配向方向と直角方向で成形収縮率に差が生じやすく、寸法精度が必要な部品では金型設計に注意が必要です。

④結晶化速度が遅い(無強化)

純粋なPETは結晶化速度が遅いため、射出成形では金型温度を高く保つ必要があり、成形サイクルが長くなる傾向があります。これを改善するために、結晶核剤を添加した改質PBTブレンドや高速結晶化グレードが用いられます。

⑤紫外線による劣化

紫外線に長期間さらされると、表面の白化や脆化が起こります。屋外使用にはUV安定剤入りのグレードを選択する必要があります。

PETの試作をご検討の方は、PlaQuickまでお気軽にお問い合わせください。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の種類

①A-PET(非晶質PET)

急冷成形により結晶化を抑えた透明な状態のPETです。ボトル、シート、フィルム、ブリスターパックなど、透明性が重要な用途に使用されます。

②C-PET(結晶化PET)

結晶核剤や成形条件で結晶化させた状態のPETで、耐熱性が高くオーブン耐熱トレイなどに使われます。半透明〜不透明な外観になります。

③GF-PET(ガラス繊維強化PET)

ガラス繊維を15〜45%程度添加し、機械強度・耐熱性・寸法安定性を大幅に高めたエンプラグレードです。電装部品や自動車部品に採用されます。

④PETG(グリコール変性PET)

シクロヘキサンジメタノールを共重合させた非晶性ポリエステルで、結晶化しにくく透明性に優れます。3Dプリンタ用フィラメントや化粧品容器、医療用途に使用されます。

⑤PBTとの共重合・アロイ

PBTとブレンドすることで、結晶化速度を高めつつPETの長所を活かしたエンプラグレードもあります。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の物性について

物理的・機械的性質

引張強度は無強化グレードで60〜80MPa、GF30%強化で150〜180MPaに達します。曲げ弾性率は無強化2,500〜3,000MPa、GF30%強化で9,000〜11,000MPa前後と、強化により大幅に向上します。比重は無強化で1.34〜1.40、GF強化で1.5〜1.7程度。アイゾット衝撃強度は無強化では低めですが、強化により改善されます。

熱的性質・成形時の性質

融点は約255℃、ガラス転移温度は約75℃。荷重たわみ温度(HDT、1.82MPa)は無強化で65〜80℃、結晶化品で220〜240℃、GF30%強化で約220℃となります。連続使用温度は無強化で90〜100℃、強化グレードで150℃前後です。射出成形温度は270〜290℃、金型温度は20〜140℃(透明品は20〜30℃、結晶化品は130〜140℃)が一般的です。成形前には必ず予備乾燥(120〜160℃で4〜6時間以上、含水率0.02%以下)を行う必要があります。

電気的性質

体積抵抗率は10¹⁵〜10¹⁶Ω・cm、絶縁破壊強度は約20〜25kV/mmと優れた絶縁性を示します。誘電率は約3.0〜3.5、誘電正接は0.002〜0.02と良好な電気特性を持ち、電気・電子部品にも使用されます。

化学的性質・燃焼性・吸水性

酸・アルコール・油に対する耐性は良好ですが、強アルカリや高温水蒸気下では加水分解を起こします。難燃性は標準でUL94 HB相当ですが、難燃剤添加グレードではV-0レベルも実現可能です。吸水率は0.1〜0.3%程度と低めで、寸法安定性に優れます。

PET(ポリエチレンテレフタレート)の用途

PETは、軽量性・透明性・機械強度・ガスバリア性・リサイクル性のバランスに優れ、容器から工業用エンプラまで幅広く採用されています

飲料・食品容器 ペットボトル、食品トレイ、ブリスターパックなど。最も身近で大量に使用されている用途です。
包装フィルム・シート 食品包装、医薬品包装、磁気テープ、写真フィルム、太陽電池バックシートなど、薄膜化と機械強度が活かされます。
繊維 ポリエステル繊維として衣料品、産業資材、不織布、タイヤコード、漁網などに広く使用されます。世界の合成繊維の最大シェアを占めます。
電気・電子部品(GF-PET) コネクタ、リレー、スイッチ、コイルボビン、ブレーカー部品など。耐熱性・絶縁性・寸法安定性が要求される部位に採用されています。
自動車部品(GF-PET) ヘッドランプハウジング、ワイパーアーム、エンジンルーム内部品、外装トリムなど。耐熱性と剛性、表面光沢の高さが評価されています。
建築・産業資材 太陽電池バックシート、断熱材フィルム、農業用フィルムなど、耐候・耐熱・絶縁の特性が求められる用途で活躍しています。

PET(ポリエチレンテレフタレート)は、透明性・機械強度・ガスバリア性・耐薬品性・リサイクル性のバランスに優れた、最も汎用性の高い結晶性ポリエステル樹脂の一つです。一方で、加水分解性や強化グレードの異方性、成形時の乾燥管理など、設計・成形上の注意点もあります。試作段階で適切なグレード選定と成形条件を最適化することで、PETの優れた特性を最大限に引き出すことができます。

 

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