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金型の寸法、形状修正について

「製品の急な設計変更で、金型の形状を修正しなければならない」金型の製作シーンでは、修正が必要なケースがしばしば発生します。
この記事では、金型の修正方法について、解説したいと思います。

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金型の性能が製品の品質に直結

「金型」とは、素材の塑性や流動性を利用して加工するための金属製の型をいいます。プラスチック成形、金属板のプレスや鍛造、鋳造などには、金型は欠かせません。

金型は通常、凸型の「コア(Core)」と凹型の「キャビティー(Cavity)」とから構成されます。両型の接触面を正しく合わせることにより空洞ができ、この空洞内に材料を注入または挿入することで成形品が完成します。

なお、プレス加工では、金属板などの材料を一対の金型の間に置き、加圧して所要の形状や寸法に成形または剪断(せんだん)します。一対の金型のうち、凸型を「パンチ(Punch)」、凹型を「ダイ(Die)」と呼びます。

金型業界には、「完成品は部品の精度を超えられず、部品は金型の精度を超えられない」という言葉があります。金型の良しあしは、製品の良否に直結しています。このようなことから、高品質の製品を実現するためには、性能に優れた金型が必要です。

金型ができるまでの流れ

では、金型はどのようにして作られるのでしょうか。金型ができるまでの流れを次表に示します。

工程 概要
(1)金型構造および部品図などの金型設計 顧客から提供された成形品図面と製品仕様書を基に、金型全体の構造を設計。その後、コア・キャビティなどの金型部品について、部品図設計を行う。
(2)加工データ作成 金型を工作機械により加工するためのデータを作成する。
(3)工作機械による金型製作 マシニングセンタをはじめとする工作機械を用いて、形材・棒材などの素形材や鋳造・鍛造などの一次加工によって作られた工作物に対し、切削、研削、放電などを施し、所要の形状と寸法に加工。
(4)仕上げ(磨き加工など) 切削・研削・放電加工などによる表面の凹凸を少なくして滑らかに仕上げる。
(5)金型組み立て 仕上げにより金型部品が完成した後、組み立てや型合わせをする。
(6)トライ成形(試作)および調整 金型の組み立て完了後、顧客に指定された材料を使用して成形。成形品の品質(寸法精度、形状など)を確認し、品質不良に関する問題があれば、金型の合わせ、コア・キャビティ、冷却方法などについて原因を考察して調整する。
(7)完成・出荷 顧客から指定された仕様どおりに金型が作られているかどうかを確認。仕様どおりに作られ、現物を受け取った顧客が承認すれば完了となる。

金型の修正方法

金型の修正は通常、上の表にあるトライ成形(試作)の結果、成形品の品質に問題があることが判明した場合に、調整の工程で実施されます。このほかに、製品の急な設計変更を余儀なくされたときに、金型の修正が必要なこともあります。

金型を修正する方法には、大きくは、金型を削る「切削」と、金型に肉盛りする「溶接」とがあります。
ここからは、切削と溶接による金型の修正についてそれぞれ、見ていくことにしましょう。

切削による金型の修正

金型を使用して成形品を成形する場合、所定の寸法精度や面精度の成形品が得られるように金型の成形面を削り取って、金型を手直しすることがあります。これが、切削による金型の修正です。
切削によって金型を修正する工程では、母材である金型を削り取っていくだけですので、金型自体の強度は変わりません。

切削による金型の修正が必要なケースは、例えば、成形した凸状の部品が、これとは別の凹状の部品とうまくはめ合わせることができないような場合です。このような場合には、金型の形状を修正することを前提として金型を製作し、金型を削って徐々に調整(チューニング)しながら形状を合わせていく措置を取ることが多くなります。

なお、成形品の形状によっては、金型の成形面が削り取られることで、その成形面に対応する成形品の表面の寸法が変わり、設計仕様を満たさなくなることがありますので、注意が必要です。

溶接による金型の修正

一方、工作機械による加工や仕上げ加工において削り過ぎたり磨き過ぎたりして薄くなった金型を、溶接によって元の肉厚まで復旧する修正方法もあります。「溶接」とは、2個または数個の金属を局部的に加熱溶融して接着する方法のことです。

溶接による金型の修正は、「肉盛(肉盛り)修正」と呼ばれることがあり,手動溶接またはNC(数値制御)によるロボットやNC加工機などを用いて実施されます。溶接によって金型の修正箇所に肉盛りした後、目的とする修正形状になるように仕上げ加工することで修正が完了します。

設計変更のほかに、金型のコア・キャビティなどの一部が打撃や落下、摩耗などでへこんだり、欠けたり、亀裂が入ってしまったりした場合の暫定的な補修にも、溶接は有用な措置となります。

溶接による金型の修正では、切削による修正とは異なり、金型(母材)に別の金属をつなぎ合わせるため、溶接部分の強度は低下する傾向があります。

溶接には一般的に、アーク溶接、ガス溶接、テルミット溶接、エレクトロスラグ溶接、電子ビーム溶接、レーザー溶接などがあります。金型の修正には、アーク溶接の一種であるTIG (Tungsten Inert Gas)(ティグ)溶接(アルゴン溶接とも呼ばれます。)、ガス溶接、レーザー溶接などが利用されます。これらのうち、よく利用されるのが「レーザー溶接」です。

レーザー溶接の特徴

「レーザー溶接」とは、レーザー光を熱源とし、レーザー光を金属に集中させた状態で照射することにより溶接する方法をいいます。レーザー溶接では、レーザー光線がピンポイントで瞬時に高エネルギー照射されるため、材料に対する、熱による強度変化やゆがみが抑えられます。

さらに、レーザー溶接は、レーザー光の出力を調整することで、深さに対して幅の狭い溶込み溶接が可能。これにより、精密な溶接が可能となり、仕上げ時間の短縮にもつながります。

レーザー溶接は、操作性の高いことも特徴であり、レーザー発生装置から離れた場所までレーザー光線を簡単に導くことができます。

溶接時の注意点

溶接は金型修正に有用な方法ですが、その採用・実施にあたっては、次に示すことを十分に配慮する必要があります。

  • 溶接した部分(溶接部)に熱ひずみが発生するため、寸法が大きく変化することがある
  • 金型の形状、溶接方向または溶接順序によって溶接部内に空洞が生じることがあり、これを防止するためには溶接操作の途中で溶接順序を変更する必要がある
  • 溶接部と金型(母材)との境界に熱による変質層が発生するため、成形品の表面にラインが転写される可能性が高い
  • 成形材料から発生するガスや水分によって、溶接部が腐食されることがある
  • 焼き入れ鋼などでは、溶接部の硬度が再加熱によって低下する
  • 溶接部に残留応力が発生するため、時間の経過とともに溶接部が変形する可能性がある
  • 溶接前に、溶接箇所の洗浄・さび取りや、金型・溶接材料の予熱などが必要な場合がある
  • 金型の溶接作業は経験に基づいて行われており、溶接電流の調整、溶接棒(溶接の際、溶けて母材と一体となり接合の目的を果たす金属棒)の選定、溶接棒の先端形状の調整などによって、溶接部の品質が大きく左右する

おわりに

金型の修正には、大きく分けて、切削と溶接の2通りの方法があることを、ご説明してきました。
金型の修正には、さまざまなリスクを伴います。金型を修正すれば、成形品の品質不良といった不具合がすべて解消されるわけではありません。
こうしたことから、金型の製作では、できる限り、金型設計をはじめとする上流工程において、種々の不具合が起きる可能性を予測し、そのような不具合を未然に防ぐための対策を講じておくことが肝要です。

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