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PC(ポリカーボネート)について

エンジニアリングプラスチックの一種であるポリカーボネートの基本情報について解説します。

PC(ポリカーボネート)の略号と名称

  • 略号:PC(Poly Carbonate)
  • 名称:ポリカーボネート
  • 呼称:ポリカとも呼ばれる
  • 外観:透明

分子構造にカーボネート基(-O-(C=O)-O-)を持つポリマー。ビスフェノールAが主な原料となる。

PC(ポリカーボネート)の概要

ポリカーボネートは熱可塑性樹脂であり、エンジニアリングプラスチックとしてさまざまな製品に使用されています。汎用エンジニアリングプラスチックは、基本的に結晶性の重合体です。しかし、ポリカーボネートだけは非晶性のため、見た目は無色透明です。

この無色透明というのがポリカーボネートの特徴の一つで、メガネのレンズや信号機などに使われています。また、ガラス並みの透明度を誇るため光学的な利用もされています。

ポリカーボネートは耐衝撃性が高いのが長所です。寸法安定性や吸水性にも優れていることから射出成形と相性が良く、大量生産に適している素材です。コスト面でも比較的安いことから、私たちの身の回りに数多くのポリカーボネート製品があります。

PC(ポリカーボネート)の長所

ポリカーボネートは、エンジニアリングプラスチックの中でも機械的性質・熱的性質のバランスに優れた樹脂です。中でも耐衝撃性はプラスチックにおいて最高クラスの数値を誇り、ABS樹脂の5倍、塩ビの10倍、PEやアクリルの50倍、一般のガラスの200倍の耐衝撃性があります。

ポリカーボネートのガラス転移温度は150℃であり、-100℃~125℃までは物性が安定しているため、高温から低温までの環境下での使用に適しています。そのうえ耐候性にも優れていることから、屋外用製品から建材に活用されています。

また、ポリカーボネートは燃えにくい性質を持っており、自己消化性もあるため火災が予想されるような場所での使用にも適していると言えるでしょう。

射出成形としてよく用いられるポリカーボネートですが、その理由は吸水性が低く、成形後の収縮率も小さいため寸法精度が安定しているからです。

PC(ポリカーボネート)の短所

ポリカーボネートの短所としてまず挙げられるのが、耐薬品性に劣る点です。アルカリ性の溶剤や界面活性剤には弱く、ポリカーボネートでできた製品に薬品が付着すると腐食や、ひび割れなどを起こしてしまいます。

また、表面の硬度はそれほど高くなく、硬いブラシなどで表面をこすってしまうと簡単に傷がつきます。

他の短所としては、高温高湿度の環境下では加水分解を起こしやすい点です。

ポリカーボネートの原料はビスフェノールAですが、ビスフェノールAの主鎖にはベンゼン環があり、それに伴いポリカーボネートは棒状で剛直な構造を持っています。そのため射出成形をすると、ポリマー分子が向きを揃えて並んでしまう傾向にあり、複屈折と呼ばれる光線が二つに分かれてしまう現象を起こします。

光学材料において複屈折は欠点となるため、射出成形をする時には、樹脂の流れを考える必要があることに注意しなければなりません。

PlaQuicKでは、PCの試作実績は豊富にあります。射出成型に限らず、透明さを活かした切削の張り合わせボトルも可能です。

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PC(ポリカーボネート)の物性について

ここでは、ポリカーボネートの物性についてデータを用いながら解説します。

  単位 ASTM 非強化 ガラスF30%
透明性 透明 半透明-不透明
[物理的・機械的性質]
比重 D792 1.20 1.40-1.43
引張強さ MPa D638 64-66 131-138
破断時伸び % D638 110-120 2-5
引張弾性率 MPa D638 2400 8600-9700
圧縮強さ MPa D695 69-86 125-138
曲げ強さ MPa D790 93 159-173
衝撃強さ (アイゾット ノッチ付) J/m D256 640-854 91-160
硬度 (ロックウェル) D785 M70-72 M92, R119
硬度 (ショア) D2240
硬度 (バーコル) D2583
[熱的性質および成形時の性質]
線膨張率 x10-5/℃ D696 6.8 2.2-2.3
荷重たわみ温度 (1.81MPa) D648 121-132 146-149
成形温度 (射出) 290 290-340
成形温度 (押出)
成形収縮率 % 0.5-0.7 0.1-0.2
[電気的性質]
体積抵抗率 Ω·cm D257
絶縁破壊強さ KV/mm D149 15-16 19
誘電率 106Hz D150 2.9
耐アーク性 sec D495 10-120
[化学的性質および燃焼性・吸水性]
耐酸・耐アルカリ性 D543 侵される
耐溶剤性 D543 芳香族、塩素化炭化水素に溶解
燃焼性 mm/min D635 自消性
吸水率 (24hr) 重量% D570 0.15 0.08-0.14

引用:https://www.kda1969.com/materials/pla_mate_pc2.htm

物理的・機械的性質

ポリカーボネートの機械的性質はプラスチックの中でも各数値がバランスよく優れていると言えます。特に、耐衝撃性についてはプラスチックの中でも最高クラスの数値を誇り、ガラス基材のポリエステルに匹敵します。

また、引張降伏応力についてはどのプラスチックも温度によって変化しますが、50℃以上ではポリアミドよりも優れた数値です。

引張強さ・圧縮強さ・曲げ強さなどは、目立った数値ではありませんが、平均値だと言えます。

透明度については87~92%となっており、アクリル樹脂の次に透明性の高いプラスチックです。

化学的性質・燃焼性・吸水性

ポリカーボネートはエステル結合を持つためにアルカリ性の溶剤には著しく弱いという特徴を持ちます。特に強アルカリ性に関しては最も弱いプラスチックの一つですが、弱アルカリ性にはそれほど影響はありません。

一方、酸性による耐性はあり、弱酸性には高い耐性を持つためナイロンやポリアセタールより酸性には強い素材です。

燃焼性は酸素指数24~25と、燃える素材ではありませんが、自己消化性を持つため熱源がなくなれば消火します。

ポリカーボネートの24hrの吸水率は0.15%です。したがって、吸水による寸法の変化があまり認めらない素材であり、この点でも射出成形に適していると言えます。

ポリカーボネートの特徴の一つに耐候性に優れている点があり、紫外線による耐性があります。その耐候性はアクリル樹脂にも匹敵するもので、屋外用の製品にも使われています。

熱的性質・成形時の性質

ポリカーボネートは耐熱性に優れている素材です。連続耐熱温度は120℃と、アクリル系や酢酸セルロース、ポリウレタンなどよりも高い数値となっています。ポリカーボネート並みの数値を求めると、ポリアミドや高密度ポリエチレンなどが該当します。

熱変形温度については130~140℃となっており、ポリエチレンの240℃とは劣りますが、ポリアミドやアクリル樹脂、テフロンなどよりは優れています。

また、成形時の寸法安定性が高いことは、ポリカーボネートを材料として採用する時のメリットです。成形収縮率は0.5~0.7%となっており、これはポリアミドやアセタールなどと比べて低い数値であるため、成形後の収縮がそれほどありません。さらに線膨張率は6.8と、ほぼポリスチレンと同じ数値であり、成形時の寸法精度は安定していると言えます。

電気的性質

ポリカーボネートは電気的性質に優れている熱可塑性樹脂です。体積固有抵抗率や耐電圧が高いため、コンデンサの絶縁フィルムとして有効活用されています。

PC(ポリカーボネート)の用途

先述したようにポリカーボネートはガラス転移温度が高く、物性として安定しているうえに自己消化性があります。そのため、パソコンやスマートフォン、医療機器、信号機、高速道路の防音板、自動車のヘッドランプなど、さまざま分野で活用されています。

コストパフォーマンスに優れているのに加え、アセタール、ポリアミド、ABS樹脂などと比べて寸法安定性や吸水性がいいことから、射出成形がしやすいのもポイントです。

ラプターとの愛称を持っているステルス戦闘機F-22のキャノピーもポリカーボネート製であり、2枚重ね合わせて使用されています。

さらに、強化タイプとしてポリカーボネートにガラス繊維を30%ほど加えて、機械的性質を高めたERPも作られています。ERPは非強化のポリカーボネートよりも引張強さや曲げ強さなどの機械的性質が飛躍的に向上し、成形収縮率も小さいために、射出成形では特に向いている材料と言えます。

ABS樹脂やPMMA、PET樹脂などを混合させてポリマーアロイ化したポリカーボネートも登場しており、耐衝撃性を高め、自動車の内装品や家電製品などに活用されています。

 

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