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エンプラ(エンジニアリングプラスチック)とは?

 

「エンプラ」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。

エンプラとは、強度や耐熱性に優れた、機械部品や電気・電子機器部品などに用いられるプラスチック。「エンジニアリングプラスチック」の略称です。近年、耐熱性に加えて電気特性などを生かし、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)を含めた自動車分野、スマートフォンや発光ダイオード(LED)といった電機分野で特に需要が増加しています。今後、世界経済の回復やxEV化、自動車電装化の進展による需要増加で、市場は拡大していくとみられています。

エンプラの特徴と種類について

エンプラは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などの汎用プラスチックと比べ、耐熱性が高いことが特徴の一つです。汎用プラスチックの使用可能温度が80℃前後までであるのに対して、エンプラの使用可能温度は80℃を上回ります。それにもかかわらず、エンプラは熱可塑性を示します。このため、射出成形によりシートやフィルムにすることができます。ブロー成形も可能です。

エンプラは、耐熱性により、「汎用エンプラ」と「スーパーエンプラ(特殊エンプラ)」に分類されます。汎用エンプラの使用可能温度は、80℃~150℃程度です。一方、スーパーエンプラは、汎用エンプラよりも耐熱性が高く(使用可能温度は150℃以上)、260℃で長期使用可能なものもあります。

では、ここからは、代表的なエンプラの種類とその特徴について、概要を示します。まず、汎用エンプラから見ていきましょう。

代表的な汎用エンプラ

汎用エンプラは、自動車や電機を中心として産業機器などの幅広い用途で需要増加が期待されています。

代表的な汎用エンプラの種類と特徴の概要は、次のとおりです。

ポリカーボネート(PC)

耐衝撃性に極めて優れ、良好な透明性、電気特性、耐熱性、寸法安定性を有する樹脂です。日常生活に必要な製品に広く用いられています。今後、世界経済の成長や人口増加に伴い、需要は増加していくとみられています。耐薬品性が良好ではなく、ストレスクラックを起こしやすいことが欠点です。射出成形材料として電気・電子、機械、自動車、医療、雑貨、建材など、あらゆる分野で部品に使われているほか、シートやフィルムなどの押し出し用途でも使用分野を拡大しています。

※詳しくはこちら:ポリカーボネート(PC)について

ポリアミド(PA)

 ナイロンとも呼ばれている樹脂です。強度、耐熱性、耐油性などに優れているため、自動車部品、電気・電子機器部品、機械部品、建材、食品包装、雑貨など、幅広い用途に使用されています。エンプラの中では、ポリカーボネートに次ぐ市場規模があります。射出成形、ブロー成形、押出成形など、多様な成形法を用いることが可能であり、設計の自由度が高いことが特徴です。

※詳しくはこちら:PA(ポリアミド)について

ポリアセタール(POM)

 機械特性、耐薬品性、耐絶縁性、耐摩耗性に優れた樹脂です。高い流動性と広い成形温度、条件幅を有し、成形性にも優れています。主に、射出成形により加工されます。電気・電子機器部品、自動車部品、産業機器、玩具・スポーツ関連製品などが主な用途です。

※詳しくはこちら:POM(ポリアセタール)について

ポリブチレンテレフタレート(PBT)

ポリブチレンテレフタレートは、一般的な樹脂と比べ、耐久性や耐熱性が高いことが特徴です。こうした特徴を生かし、自動車部品、電気・電子機器部品、家電・OA機器、産業機器、フィルムなどの工業用途で幅広く用いられています。熱水や酸・アルカリに対して比較的弱いことが短所です。流動性が良く、特に射出成形における加工性に優れています。なお、フィルムなどの用途では、押出成形も利用されています。

※詳しくはこちら:PBT(ポリブチレンテレフタレート)について

変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)

ポリフェニレンエーテル(PPE)に、成形性が良好なスチレン系樹脂、PP、PAなどの樹脂をブレンドして製造されます。絶縁性が高く、耐衝撃性や耐熱性にも優れていることが特徴です。こうした特徴を生かして、OA機器、電気・電子機器部品、自動車部品、太陽光パネルの配線回り部品、複合機などの工業用途で使用されています。近年では、HVやEVなどで市場が拡大する車載用リチウムイオン電池向けの用途も。炭酸ガスを用いた射出成形法が開発されています。

代表的なスーパーエンプラ

続いて、代表的なスーパーエンプラの種類と特徴の概要を以下に示します。

耐熱性や耐摩耗性などの特性が汎用エンプラよりも優れている点を生かし、自動車、電機から航空・宇宙分野まで、用途の幅がますます広がっている、スーパーエンプラ。軽量化などのメリットもあることから、エネルギー問題や地球温暖化などを解決し得る素材の一つとして期待されています。

(※PlaQuickで射出成形の実績があるスーパーエンプラは、現時点ではPPSのみです。)

ポリフェニレンスルフィド(PPS)

耐薬品性(耐燃料性)や耐熱性、耐摩耗性に優れており、ガソリン(燃料)の付着する可能性がある部品によく使われています。結晶性樹脂であり、成形時の金型温度が低いと結晶化が十分に進まないことが欠点です。用途は、自動車、電気・電子機器部品、住宅設備、OA機器、精密機器など、多岐にわたります。射出成形用途のほか、繊維やフィルム用途でも用いられています。

※詳しくはこちら:PPS(ポリフェニレンサルファイド)について

ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)

熱可塑性樹脂の中で高い耐熱性を示す樹脂の一つであり、難燃性や耐薬品性にも優れ、自動車、航空、鉄道から、電気・電子機器、半導体関連の部品まで、幅広い用途で使用されています。生産量は増えてきているものの、依然として生産コストが高いことが課題です。優れた特性を生かして、製品全体でのコストを抑える工夫がなされています。射出成形、押出成形など各種の成形法が利用可能であり、さまざまな機械部品、押出被覆、フィルム、シート製造に使用されています。

ポリスルホン(PSFまたはPSU)

ポリスルホンは、耐熱性、寸法安定性、耐薬品性、難燃性に優れています。電気・電子分野や医療分野での採用が多いほか、医療・食料用フィルター用途の分離膜の素材として確固たる地位を築いています。耐紫外線性に劣ることが短所です。射出成形を利用することが可能です。

液晶ポリマー(LCP)

耐熱性、剛性、難燃性、電気絶縁性、耐薬品性、流動性、寸法安定性に優れた樹脂です。スマホの5G通信対応による電子部品搭載数の増加や、テレワーク普及に伴うノートパソコンの生産台数増加などにより、需要は伸びています。加えて、制音性を有し、EVへの応用も期待されています。もろいことと、厚みのある成形体の成形や押出加工が難しいことが短所です。通常の射出成形機が使用可能です。また、一般のエンプラと比べて細いランナーを備えた金型を用いて成形することができます。

PlaQuickでのエンプラの成形事例

プラスチックの試作開発サービス「PlaQuick(プラクイック)」は、さまざまなエンプラ成形品の試作に対応しています。今回は、PlaQuickにおける数ある実績の中から、ウェアラブル用途の成形品の試作事例をご紹介します。

スマートシューズ「ORPHE TRACK」部品の試作

株式会社ORPHE(オルフェ)は、センサーを内蔵した履物「スマートフットウェア」を中心とするウェアラブル機器と、そこから取得されたデータを活用するプラットフォーム「ORPHE」を提供しています。

ウェアラブルデバイスの画像

同社が販売するスマートシューズ「ORPHE TRACK」は、スマホを持って走るだけで、画期的なランニングフォーム解析を体感することができます。シューズのソール内部に、小型で軽量のセンサーデバイスをセットします。これにより、履き心地に影響を及ぼすことなく、いつでもどこでも計測が可能です。計測中、センサーと無線接続したスマホアプリが、リアルタイムに音声でフィードバックするため、ランナーは自身の走りを客観的に確認することができます。

「ORPHE TRACK」では、センサーモジュールの筐体(きょうたい)とシューズのソール部分の試作に、PlaQuickの射出成形を採用。その結果、軽くて丈夫な樹脂製のパーツを実現することができました。

さらに、PlaQuickを活用することで、図面提供から製品確認までの工程がスムーズに。このため、センサーモジュールとシューズの開発スピードを格段に上げることができました。

【PlaQuick採用事例】スマートシューズ「ORPHE TRACK」部品の試作

スマートシューズ「ORPHE TRACK」(ORPHE社の公式Webサイト)

エンプラでの試作・成形ならPlaQuickへ

エンプラにはさまざまな樹脂がありますが、特性はそれぞれ異なります。このため、製品の用途や使用環境などに応じて、材料の選定、成形、成形品の試作は、慎重に検討する必要があります。これに加えて、コストや時間も考慮しなければなりません。

PlaQuickでは、製品の特性にマッチしたエンプラをご提案・調達できることはもちろん、量産品と同じ条件による試作品を早く安くご提供することが可能です。これまで培ってきたノウハウと経験を生かし、エンプラ製品の試作について、お客さまの抱える課題の解決に向け全力を尽くしてサポートいたします。

エンプラ製品の試作に関してお悩みがございましたら、まずはPlaQuickまでお気軽にご相談ください。

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